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-1.
まえがきデス。
というわけで本日からJEIKJEIL改め過激派唐辛子、或いはJacoJalaデス。
どっちにせよ「じゃこはら」と読んでクダサイ。読めない?知りません(コラ。
まぁ漢字の方を(無理矢理)英訳するとJacominism Jalapenoということです。ハイ。じゃこはらデス。略しまくるとJJにナリマス。前と同じでス
そんなわけで予約しなくても買えるだろうと腹括ってるじゃこはらですが、買ってから週間連載でプレイ日記的な連載をやろーかと。
カウントアップとモチベーション維持が主な目的(コラ
まぁそんなわけで発売に先駆けてプレストーリーを2回程掲載していく腹づもりになってます。
それではこんな拙い文章を待ってない人も望んでない人も(マテマテ
どうぞどうぞ~
まえがきデス。
というわけで本日からJEIKJEIL改め過激派唐辛子、或いはJacoJalaデス。
どっちにせよ「じゃこはら」と読んでクダサイ。読めない?知りません(コラ。
まぁ漢字の方を(無理矢理)英訳するとJacominism Jalapenoということです。ハイ。じゃこはらデス。略しまくるとJJにナリマス。前と同じでス
そんなわけで予約しなくても買えるだろうと腹括ってるじゃこはらですが、買ってから週間連載でプレイ日記的な連載をやろーかと。
カウントアップとモチベーション維持が主な目的(コラ
まぁそんなわけで発売に先駆けてプレストーリーを2回程掲載していく腹づもりになってます。
それではこんな拙い文章を待ってない人も望んでない人も(マテマテ
どうぞどうぞ~
0-1.退屈な日、始まりの日
私に家はお金持ちで
私は頼めばなんでも買って貰えた。
私に持ってない物なんか無くて
私は幸せなはずだった。
私は満ち足りていたはずだった。
「はぁ。」
何度目かのため息。退屈な午後の退屈な空。私はそんな雨の降る曇天を眺めて、さらにもう一度ため息を吐く。
「どうなさいましたか、お嬢様」
私の背後にいるのは私の従者のセガール。
もうかなりの年のハズだけど背筋はピシッと伸びている。彼は武道の心得があるとかで、燕尾服に隠れたその肉体は逞しい。
「暇なのよ、暇。変わらない日常、外と言ってもお屋敷から出ることも出来ず、退屈な日々。」
下を見下ろせば雨だと言うのに庭師がせっせと庭の手入れをしている。
あの庭師は私と同じくらいの年頃だったはずだ。よくお話をしてくれる彼女も今この瞬間、あんなにも遠くにいる。
「私はまるで飼われているみたいね。この豪勢なお屋敷の一人娘。大層大事に飼われて。歴史がそうであったように世の中が動いていることも分からずにここで一生を過ごすのかしら」
今思えば、この時セガールが思いつきで言った(後で本人からそう聞いた)一言で私の人生は大きく変わったのかも知れない。
とにかく、セガールはその時こういったのだ。
「それでは、お嬢様がよろしければ退屈なこの時間に武道等覚えて見ては如何でしょう?」
「武道……セガールが昔やってたっていう奴?」
私は窓から目を離し、セガールに向き直る。深く白い眉や髭に隠れた表情はうかがい知れないが、今という退屈を紛らわせる為にこんなチャンスを私が逃すはずも無かったのだ。
「いいわ、ソレ。教えて頂戴。セガール」
0-2.夢物語、変わらない日々
気がつけばあれから2年も過ぎていた。私はセガール程では無いにせよ、武道の心得のようなものと、強い自分への自信をつけていた。
そして、今日もセガールが稽古をつけてくれる日。今の私は勉強や習い事よりも、この洗練された身のこなしを覚える武道に没頭していた。
今日は晴れなので庭に出る。ちなみに雨のときはダンスホールを使う。そしてセガールは燕尾服では無くドウギ、と呼ばれる動きやすそうな服に、私はとりあえず身軽な服に着替える。
にこにこしながら庭師が見物している。
彼女はいつもこの稽古を見物して楽しんでいるようだった。
「お嬢様、行きますぞっ」
「おいでなさい。セガールっっ」
1年半程できっちり基礎を教わったので、今は主にこうして手合わせをしている。
セガールはやはり強くて、今まで一度も勝ったことは無かった。
いつの間にか審判になっていた庭師が私達の間に入る。
「それでは、アプリコットお嬢様対、セガール様。クリーン1ヒットマッチ。レディ……ファイッ!」
文字通り、クリーンヒット1発当てれば勝ちの短期で、一番安全な勝負。
どうでもいいけど今初めて私の名前が出たわね。ちょっと可愛らしすぎるのよねぇ……。
庭師の合図と共に、私が踏み出す間もなく、セガールが動く。
セガールの踏み込みは疾く、そして重い。
ダンッダンッと地面を抉るように、それでいて鮫のような鋭さと俊敏さで私に迫ってくる。
彼の身体が私の目の前に迫る。僅かに右に傾き、姿勢が下がる。
(――右下段フェイントからの左中段)
繰り出されるかに見えた右に当たりに行くように身体を反らす。
予定調和のように私の脇腹の微かに左を彼の拳が駆けていく。
(――その勢いで反転、腰を落とせば右中段、止まらないならば、右の薙ぎ上段)
まるで私の思考するように動く彼は反転の勢いを殺さずに右手を手刀に変え、なぎ払う。
受ければ手刀が砕けて受けた手を掴み、避ければ無防備な中段に容赦ない左が飛ぶ。これが2択であるならば、いわゆる詰み。幾度かこのパターンにやられたこともある。
(――なら、第3の選択肢っ)
受けの姿勢で左を出す。だが、これは受けでは無い。
鞭のようにしなる彼の右腕を、可動域の狭くなる根本から、掴む。
そのままソレをこちらに引き寄せ、残りの、利き手たる右で顔面に叩き込む。
しかし、彼とてこのままクリーンヒットを許すワケでは無い。
私が掴んだはずの右腕は私の左腕を絡みつくように取り、そこは軸に飛ぶ。私の腕を極めたまま私の頭上を飛び越し、ついでに左を壊しに来る。
持って行かれぬよう、腕に合わせて身体を回す。
彼の着地と共に腕が外れ、私の左腕は自然に地に着く。さらに――
(――蹴り。右から来る)
伸びきったまま地に着いた左腕をほぼ指の力だけで浮かす。即座に右足を入れて立ち上がる。彼の左足は空を切るが、
(――そのまま右ハイキックへの連携)
思ったままの攻撃が来る。
今日は読める。もしかしたら勝てるのかもしれない。
蹴りを躱す。そこからの連携は無いはずだ
彼の連携が途切れ、すかさず攻守を切り替える。
避けたはずみで右、左とステップ、右正拳下段。
大きくハイキックした彼の身体は今かなりのけぞったカタチになっている。
故の下段だ。
しかし、こちらもやはり蛇のように絡みつく左手が私の右を掴む。私は右を引かざるを
(――得ない?……本当に?)
この左手は私の動きを制限するためのものか、否。この左手のパワーベクトルは寧ろ攻撃を受け流す動きにある。
ならば受け流すのか、それも否。その先にあるのは自身の身体だ。
もっと別の戦いならいざ知らず、1ヒットマッチにおいて自滅となるソレは無い。
これはなんだ。相手の手を取り、引っ張る。ソレは
(――起き上がり?! 体制の立て直し!!)
あらゆる可能性を除去する。もしそれが正しいならば、これは最大の攻撃チャンス。重なったフェイントの裏に隠した無防備な答えにたどり着く。
(――なら、打ち抜く!)
右をそのまま突き出す。瞬時に左手の拘束が解け、全力の回避に彼の身体が動く、が遅い!
――ドカッ
と鈍く、そして小気味のいい音を立ててセガールの老体が1.2メートルほど飛ぶ。
そして、庭師が高らかに声をあげる。
「勝者、アプリコットお嬢様ぁぁ!!」
私の初めての勝利だった。
私はセガールの身を心配して(自分でやっておいてなんだが)その傍らに駆け寄る。
「大丈夫?!結構、というか思いっきり全力で殴っちゃったけど……」
セガールは何でも無いといった顔で笑う。
「フフフ、お強くなりましたね、お嬢様」
それから軽く汗を拭いて燕尾服に戻ったセガールは「お茶をお持ちします」といって、一度屋敷に戻っていった。
そこには私と、庭師にエミィが残る。
「いやーお嬢様すごかったですね、今日のは」
エミィが話しかけてくる。
「イヤね、たまたまよ、たまたま」
謙遜してみるがやっぱり勝つのは気持ちのいいことだった。
「それより、また外のお話をしてくれない?」
エミィは見かけによらずいろんなことを知っている。
私の知らないいろんな場所のことを、まるで一緒に見せてくれているかのように話してくれるのだ。
「そうですね、それではお嬢様。世界樹の迷宮ってご存じですか?」
「世界樹の、迷宮?」
突然知らない固有名詞を出されて私は少し焦ってしまう。
「そう。世界樹っていうとても大きな樹の中に出来た、まさに天然の迷宮なんですよ」
――それはとてもとても大きくて、近くの国の衛士達くらいじゃ全然調査仕切れないくらい広くて、世界中から冒険者が集まる程、色々な貴重な物が見られるんです。
なんでも世界樹というとても狭い世界で成長した生物はその中で独自の進化をするのだとか。だから世界中の誰も見たことの無いような物がいっぱいあるんだそうです。
でも危険も沢山あって、並大抵の冒険者では還ってこないことも多いのだとか。それでも人が絶えなくて、世界樹の迷宮で生計を立ててる国、なんてのもあるくらいなんです。――
そんな概要だったと思う。
やっぱりエミィの話は面白いな。それが嘘か本当かはわからないけれど、いつも私を楽しませてくれる。
その時はその話なんてその程度の理解でしか無かったのだ。
――その日の夜のことだった。
0-3 不思議な日。旅立ちの日
深夜に目が覚めた。覚めたというよりは激しく揺さぶられて転げ落ちた、といった方が正しいか。
ガタガタと家が揺れていた。家具が倒れ、ガラスの調度品が割れ、目の前にガラスの破片をまき散らす。
「お嬢様っ」
セガールが入ってくる。
その革靴は底が厚いのかガラスの散らばった室内を駆け抜け私の元に来る。
「地震……なのかしら。こんな大きい揺れは初めて」
いまいち状況の飲めない私はどこか冷静に状況を見る。
セガールは頷くと、兎に角外へ。と言って私の目の前で窓を叩き開ける。
ってここ、一応3階なんだけど、等と言う暇も無く彼は私を抱いて飛び降りる。
まぁセガールならこのくらいやるんだろうなぁとは思っていたけれど。
外から見ると、何処から燃えたのか、屋敷は燃えているようだった。
見渡す限りすごい揺れで、何もかも分からないくらいだった。
「お嬢様!!」
庭師のエミィが駆け寄る。庭師だし、きっとずっと外に居たのだろう。
私達の外には誰も姿が見えない。父や母はどうしたのだろう。他の従者とか、他の人達は?
分からないままとにかくその場にうずくまる。
揺れは収まる気配がない。
ガラガラと崩れる音。
……近く、ない?
――見れば、瓦礫の束が私達の頭上に
――時間が酷くゆっくりになる。
――ぁぁ、これが極限状態っていう奴かと思う。
――でもあしがうごかない。
――もうだめなのかな。
――ああ、つまらない人生だったな
そこまで思って、ぎゅっと目を瞑ってしまった、
意識が覚醒する。
なんだ、今のは夢だったのか。
目を開く。
「お目覚めになりましたか?お嬢様」
いつもの声が響く。
ああ、きっとあの地震は全部夢で
視界にはまた
いつものてんじょ……
アレ?
ウチの天井はこんなにボロかったかなぁ……
起き上がる。
ウチじゃぁ無いな……
「ここ……何処?」
「私も驚いているところです。」
曖昧な返答が返ってきた。
「私、あれが夢じゃなければ、瓦礫の下かな、と思うんだけど」
「私も、お嬢様と同じ場所だったかと思っておりました。」
セガールが説明をしてくれた。
曰くここは海都アーモロードのアーマンの宿というところ。
私達は夜、樹海の前で倒れていたところを通りすがった冒険者に保護されたとかなんとか。
「んと、どうしようか?」
等と思っていると
「お嬢様、目が覚めたんですね!」
大きな声を上げて聞き慣れた声の人間が入ってくる。まぁ庭師のエミィなんだけど。
「よかった、ご無事で」
「それはともかく、この状況は何?」
とりあえずこっちにも聞いてみる。まぁムダな努力なのだろうけど
「それはよくわからないです。私も気づいたらここにいたんです」
「お、やっと全員目が覚めたみたいだな。」
今度は知らない声。趣味の悪い格好の、若い男が入ってくる。
「誰?」
ちょっとぶっきらぼうに聞いてみる。というか私はこういうとき、他人にどう接すればいいかとか知らない。
「おまえ等を助けてやった冒険者サマだ。恩に着ろー」
恩着せがましい態度丸出しで滑稽だが、まぁお礼くらいは言った。
「どうせ、お前等も『世界樹の迷宮』を探索しにきたんだろ。実はそっちのお願いもあってね」
なんでも自分たちは世界樹の迷宮の探索に来たはいいが、二人(仲間がいるらしい)では心許無いのだとか。だから私達を見て、あわよくばなんてコトを思ったのだとか。
「少し、状況を整理したいので、時間を頂けません?」
そう言うと分かった、明日また来るよ。といってとりあえず一旦引いてくれたみたいだった。
その日の夜。
「で、なんでこんなところに飛ばされたのかしら?」
地図を見たところ、私達の町は大分遠い。ちょっとやそっとでどうにかなるレベルでは無い程に。
「それはわかりません。私も、セガール様も、気づいたらここにいたのですから」
エミィもあの地震のことは肯定し、多分本来なら、あの瓦礫に埋もれていたことも肯定した。さすがに3人が3人同じ夢を見たとは思えない。
「で、ウチに帰るにはどうしたらいいのかしら?」
「お金を稼げば、海路や陸路を伝って帰ることも出来ましょうが……」
セガールがそう言うが、お金を稼ぐといっても簡単なことじゃ……
手を叩く。とても名案が思い浮かんだのだ。
「世界樹!!この町、世界樹の迷宮があると言ってたわね!」
二人が顔を見合わせる。まさか……みたいな表情だ。
そして多分、そのまさか
「ならその世界樹で、珍しい物を見つけて、売って、稼いで。それで帰ればいいのよ!!」
私達の迷宮探索が、ここからスタートしたのだった。
---to be continues---
なかがき
というわけで。買う前から構想に構想を重ねたメンバーのウチ3人の物語です。
アプリコット→プリンセス
セガール→モンク
エミィ→ファーマー
という振り分けですね。
まぁ次の回で残す二人も出てきます。
なんか収拾つかなくなってワープモノに(ぉ なりましたが、その辺もしっかり考えてます。
さぁ、バランス悪そうなパーチーだなー大丈夫かなぁ(ぇ
私に家はお金持ちで
私は頼めばなんでも買って貰えた。
私に持ってない物なんか無くて
私は幸せなはずだった。
私は満ち足りていたはずだった。
「はぁ。」
何度目かのため息。退屈な午後の退屈な空。私はそんな雨の降る曇天を眺めて、さらにもう一度ため息を吐く。
「どうなさいましたか、お嬢様」
私の背後にいるのは私の従者のセガール。
もうかなりの年のハズだけど背筋はピシッと伸びている。彼は武道の心得があるとかで、燕尾服に隠れたその肉体は逞しい。
「暇なのよ、暇。変わらない日常、外と言ってもお屋敷から出ることも出来ず、退屈な日々。」
下を見下ろせば雨だと言うのに庭師がせっせと庭の手入れをしている。
あの庭師は私と同じくらいの年頃だったはずだ。よくお話をしてくれる彼女も今この瞬間、あんなにも遠くにいる。
「私はまるで飼われているみたいね。この豪勢なお屋敷の一人娘。大層大事に飼われて。歴史がそうであったように世の中が動いていることも分からずにここで一生を過ごすのかしら」
今思えば、この時セガールが思いつきで言った(後で本人からそう聞いた)一言で私の人生は大きく変わったのかも知れない。
とにかく、セガールはその時こういったのだ。
「それでは、お嬢様がよろしければ退屈なこの時間に武道等覚えて見ては如何でしょう?」
「武道……セガールが昔やってたっていう奴?」
私は窓から目を離し、セガールに向き直る。深く白い眉や髭に隠れた表情はうかがい知れないが、今という退屈を紛らわせる為にこんなチャンスを私が逃すはずも無かったのだ。
「いいわ、ソレ。教えて頂戴。セガール」
0-2.夢物語、変わらない日々
気がつけばあれから2年も過ぎていた。私はセガール程では無いにせよ、武道の心得のようなものと、強い自分への自信をつけていた。
そして、今日もセガールが稽古をつけてくれる日。今の私は勉強や習い事よりも、この洗練された身のこなしを覚える武道に没頭していた。
今日は晴れなので庭に出る。ちなみに雨のときはダンスホールを使う。そしてセガールは燕尾服では無くドウギ、と呼ばれる動きやすそうな服に、私はとりあえず身軽な服に着替える。
にこにこしながら庭師が見物している。
彼女はいつもこの稽古を見物して楽しんでいるようだった。
「お嬢様、行きますぞっ」
「おいでなさい。セガールっっ」
1年半程できっちり基礎を教わったので、今は主にこうして手合わせをしている。
セガールはやはり強くて、今まで一度も勝ったことは無かった。
いつの間にか審判になっていた庭師が私達の間に入る。
「それでは、アプリコットお嬢様対、セガール様。クリーン1ヒットマッチ。レディ……ファイッ!」
文字通り、クリーンヒット1発当てれば勝ちの短期で、一番安全な勝負。
どうでもいいけど今初めて私の名前が出たわね。ちょっと可愛らしすぎるのよねぇ……。
庭師の合図と共に、私が踏み出す間もなく、セガールが動く。
セガールの踏み込みは疾く、そして重い。
ダンッダンッと地面を抉るように、それでいて鮫のような鋭さと俊敏さで私に迫ってくる。
彼の身体が私の目の前に迫る。僅かに右に傾き、姿勢が下がる。
(――右下段フェイントからの左中段)
繰り出されるかに見えた右に当たりに行くように身体を反らす。
予定調和のように私の脇腹の微かに左を彼の拳が駆けていく。
(――その勢いで反転、腰を落とせば右中段、止まらないならば、右の薙ぎ上段)
まるで私の思考するように動く彼は反転の勢いを殺さずに右手を手刀に変え、なぎ払う。
受ければ手刀が砕けて受けた手を掴み、避ければ無防備な中段に容赦ない左が飛ぶ。これが2択であるならば、いわゆる詰み。幾度かこのパターンにやられたこともある。
(――なら、第3の選択肢っ)
受けの姿勢で左を出す。だが、これは受けでは無い。
鞭のようにしなる彼の右腕を、可動域の狭くなる根本から、掴む。
そのままソレをこちらに引き寄せ、残りの、利き手たる右で顔面に叩き込む。
しかし、彼とてこのままクリーンヒットを許すワケでは無い。
私が掴んだはずの右腕は私の左腕を絡みつくように取り、そこは軸に飛ぶ。私の腕を極めたまま私の頭上を飛び越し、ついでに左を壊しに来る。
持って行かれぬよう、腕に合わせて身体を回す。
彼の着地と共に腕が外れ、私の左腕は自然に地に着く。さらに――
(――蹴り。右から来る)
伸びきったまま地に着いた左腕をほぼ指の力だけで浮かす。即座に右足を入れて立ち上がる。彼の左足は空を切るが、
(――そのまま右ハイキックへの連携)
思ったままの攻撃が来る。
今日は読める。もしかしたら勝てるのかもしれない。
蹴りを躱す。そこからの連携は無いはずだ
彼の連携が途切れ、すかさず攻守を切り替える。
避けたはずみで右、左とステップ、右正拳下段。
大きくハイキックした彼の身体は今かなりのけぞったカタチになっている。
故の下段だ。
しかし、こちらもやはり蛇のように絡みつく左手が私の右を掴む。私は右を引かざるを
(――得ない?……本当に?)
この左手は私の動きを制限するためのものか、否。この左手のパワーベクトルは寧ろ攻撃を受け流す動きにある。
ならば受け流すのか、それも否。その先にあるのは自身の身体だ。
もっと別の戦いならいざ知らず、1ヒットマッチにおいて自滅となるソレは無い。
これはなんだ。相手の手を取り、引っ張る。ソレは
(――起き上がり?! 体制の立て直し!!)
あらゆる可能性を除去する。もしそれが正しいならば、これは最大の攻撃チャンス。重なったフェイントの裏に隠した無防備な答えにたどり着く。
(――なら、打ち抜く!)
右をそのまま突き出す。瞬時に左手の拘束が解け、全力の回避に彼の身体が動く、が遅い!
――ドカッ
と鈍く、そして小気味のいい音を立ててセガールの老体が1.2メートルほど飛ぶ。
そして、庭師が高らかに声をあげる。
「勝者、アプリコットお嬢様ぁぁ!!」
私の初めての勝利だった。
私はセガールの身を心配して(自分でやっておいてなんだが)その傍らに駆け寄る。
「大丈夫?!結構、というか思いっきり全力で殴っちゃったけど……」
セガールは何でも無いといった顔で笑う。
「フフフ、お強くなりましたね、お嬢様」
それから軽く汗を拭いて燕尾服に戻ったセガールは「お茶をお持ちします」といって、一度屋敷に戻っていった。
そこには私と、庭師にエミィが残る。
「いやーお嬢様すごかったですね、今日のは」
エミィが話しかけてくる。
「イヤね、たまたまよ、たまたま」
謙遜してみるがやっぱり勝つのは気持ちのいいことだった。
「それより、また外のお話をしてくれない?」
エミィは見かけによらずいろんなことを知っている。
私の知らないいろんな場所のことを、まるで一緒に見せてくれているかのように話してくれるのだ。
「そうですね、それではお嬢様。世界樹の迷宮ってご存じですか?」
「世界樹の、迷宮?」
突然知らない固有名詞を出されて私は少し焦ってしまう。
「そう。世界樹っていうとても大きな樹の中に出来た、まさに天然の迷宮なんですよ」
――それはとてもとても大きくて、近くの国の衛士達くらいじゃ全然調査仕切れないくらい広くて、世界中から冒険者が集まる程、色々な貴重な物が見られるんです。
なんでも世界樹というとても狭い世界で成長した生物はその中で独自の進化をするのだとか。だから世界中の誰も見たことの無いような物がいっぱいあるんだそうです。
でも危険も沢山あって、並大抵の冒険者では還ってこないことも多いのだとか。それでも人が絶えなくて、世界樹の迷宮で生計を立ててる国、なんてのもあるくらいなんです。――
そんな概要だったと思う。
やっぱりエミィの話は面白いな。それが嘘か本当かはわからないけれど、いつも私を楽しませてくれる。
その時はその話なんてその程度の理解でしか無かったのだ。
――その日の夜のことだった。
0-3 不思議な日。旅立ちの日
深夜に目が覚めた。覚めたというよりは激しく揺さぶられて転げ落ちた、といった方が正しいか。
ガタガタと家が揺れていた。家具が倒れ、ガラスの調度品が割れ、目の前にガラスの破片をまき散らす。
「お嬢様っ」
セガールが入ってくる。
その革靴は底が厚いのかガラスの散らばった室内を駆け抜け私の元に来る。
「地震……なのかしら。こんな大きい揺れは初めて」
いまいち状況の飲めない私はどこか冷静に状況を見る。
セガールは頷くと、兎に角外へ。と言って私の目の前で窓を叩き開ける。
ってここ、一応3階なんだけど、等と言う暇も無く彼は私を抱いて飛び降りる。
まぁセガールならこのくらいやるんだろうなぁとは思っていたけれど。
外から見ると、何処から燃えたのか、屋敷は燃えているようだった。
見渡す限りすごい揺れで、何もかも分からないくらいだった。
「お嬢様!!」
庭師のエミィが駆け寄る。庭師だし、きっとずっと外に居たのだろう。
私達の外には誰も姿が見えない。父や母はどうしたのだろう。他の従者とか、他の人達は?
分からないままとにかくその場にうずくまる。
揺れは収まる気配がない。
ガラガラと崩れる音。
……近く、ない?
――見れば、瓦礫の束が私達の頭上に
――時間が酷くゆっくりになる。
――ぁぁ、これが極限状態っていう奴かと思う。
――でもあしがうごかない。
――もうだめなのかな。
――ああ、つまらない人生だったな
そこまで思って、ぎゅっと目を瞑ってしまった、
意識が覚醒する。
なんだ、今のは夢だったのか。
目を開く。
「お目覚めになりましたか?お嬢様」
いつもの声が響く。
ああ、きっとあの地震は全部夢で
視界にはまた
いつものてんじょ……
アレ?
ウチの天井はこんなにボロかったかなぁ……
起き上がる。
ウチじゃぁ無いな……
「ここ……何処?」
「私も驚いているところです。」
曖昧な返答が返ってきた。
「私、あれが夢じゃなければ、瓦礫の下かな、と思うんだけど」
「私も、お嬢様と同じ場所だったかと思っておりました。」
セガールが説明をしてくれた。
曰くここは海都アーモロードのアーマンの宿というところ。
私達は夜、樹海の前で倒れていたところを通りすがった冒険者に保護されたとかなんとか。
「んと、どうしようか?」
等と思っていると
「お嬢様、目が覚めたんですね!」
大きな声を上げて聞き慣れた声の人間が入ってくる。まぁ庭師のエミィなんだけど。
「よかった、ご無事で」
「それはともかく、この状況は何?」
とりあえずこっちにも聞いてみる。まぁムダな努力なのだろうけど
「それはよくわからないです。私も気づいたらここにいたんです」
「お、やっと全員目が覚めたみたいだな。」
今度は知らない声。趣味の悪い格好の、若い男が入ってくる。
「誰?」
ちょっとぶっきらぼうに聞いてみる。というか私はこういうとき、他人にどう接すればいいかとか知らない。
「おまえ等を助けてやった冒険者サマだ。恩に着ろー」
恩着せがましい態度丸出しで滑稽だが、まぁお礼くらいは言った。
「どうせ、お前等も『世界樹の迷宮』を探索しにきたんだろ。実はそっちのお願いもあってね」
なんでも自分たちは世界樹の迷宮の探索に来たはいいが、二人(仲間がいるらしい)では心許無いのだとか。だから私達を見て、あわよくばなんてコトを思ったのだとか。
「少し、状況を整理したいので、時間を頂けません?」
そう言うと分かった、明日また来るよ。といってとりあえず一旦引いてくれたみたいだった。
その日の夜。
「で、なんでこんなところに飛ばされたのかしら?」
地図を見たところ、私達の町は大分遠い。ちょっとやそっとでどうにかなるレベルでは無い程に。
「それはわかりません。私も、セガール様も、気づいたらここにいたのですから」
エミィもあの地震のことは肯定し、多分本来なら、あの瓦礫に埋もれていたことも肯定した。さすがに3人が3人同じ夢を見たとは思えない。
「で、ウチに帰るにはどうしたらいいのかしら?」
「お金を稼げば、海路や陸路を伝って帰ることも出来ましょうが……」
セガールがそう言うが、お金を稼ぐといっても簡単なことじゃ……
手を叩く。とても名案が思い浮かんだのだ。
「世界樹!!この町、世界樹の迷宮があると言ってたわね!」
二人が顔を見合わせる。まさか……みたいな表情だ。
そして多分、そのまさか
「ならその世界樹で、珍しい物を見つけて、売って、稼いで。それで帰ればいいのよ!!」
私達の迷宮探索が、ここからスタートしたのだった。
---to be continues---
なかがき
というわけで。買う前から構想に構想を重ねたメンバーのウチ3人の物語です。
アプリコット→プリンセス
セガール→モンク
エミィ→ファーマー
という振り分けですね。
まぁ次の回で残す二人も出てきます。
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さぁ、バランス悪そうなパーチーだなー大丈夫かなぁ(ぇ
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Re:無題
時々心機一転的なナニカをしたくなるものなのです。
mixiはしばらくは@元JEIKJEILっていれよーとしたんだけど字数オーバーって怒られたのでw
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