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7
 次の日、月曜日。
この日、志藤は部屋のカレンダーをひとつめくった。
いつもと同じ時間に家を出る。
しかし、空は日を追う毎に暗くなっていた。
季節は秋を越え、冬になろうとしていた。

 それでも、その日も教会の門は開かれていた。
しかし、いつもと何かが違っていた。
かすかにオルガンの戦慄が聞こえるのだ。
聖歌の練習の日では無いし、ましてや時間が早すぎる。
何より、流れている曲はミサでは無く――

「主よ人……?」

先日、少女と出会った時に志藤が弾いていた、滑らかな音階の曲。
『主よ、人の望みの喜びよ』だった。
教会の扉を開け、中に入る。
パイプオルガンから流れる荘厳な響きが志藤の耳に飛び込んだ。
 そして――その弾き手は

昨日の、不思議な少女だった。

 演奏が終わり、少女が振り向く。少女は志藤の通う高校の制服を身につけていた。
そのブレザーの胸元にある、学年で色分けがされたバッジは、緑。つまり志藤の一つ上だった。

 少女は柔らかな微笑を浮かべ、ゆっくりと口を開いた。
「また会ったね、キミ。やっぱり運命なのかな?」
志藤は少しだけ呆然としていたが、会話を試みる。
「おまえ……いやあなたはここで何を? どうして、この時間に、ここにいるんですか? 」
上級生であることを自然と意識して、やや口調を敬語気味に修正しながら問う。
「この時間、この場所で僕と会うことは、偶然では為し得ない。普通、ウチの学校の生徒はこんな時間に、こんなところには来ないでしょう?」
しかし、少女は微笑みを絶やさないまま言った。
「運命、と言ったでしょ? 私は、昨日あなたに出会った。その瞬間に、今日あなたと私が出会うことは運命によって決められたの。」
そして、オルガンの倚子から降りる。少女は志藤の目の前まで歩き寄る。
 二人の距離が限りなくゼロに近づく。
少女は小さく呟いた。
「だから、これも運命。私という星とあなたという星が惹かれ合うこと。私がコレをあなたに渡すこと。」
 志藤の手を取り、何かの紙切れを握らせる。
「それじゃぁ、『また後で』」
少女はそのまま志藤とすれ違い、教会を出て行く。
志藤の手に握られた紙には、小さく3桁の数字が書かれていた。

---to be continued---

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